神社の敷地として利用されている土地は、低額な賃貸料ながら他の用途への転換も事実上難しい土地は、使用制限がある土地として評価すべきだ、とした事例(関信・非公開・平成19年6月22日裁決)

1.本件土地の概要

本件土地は、本件相続開始日において、本件土地の周辺地域の氏子が管理している神社の社殿の敷地となっている。神社地代(年間)は12,000円である。本件土地は公道に面しておらず、誰でも敷地内に自由に出入りできる状況であった。被相続人は当該神社の氏子で、被相続人と氏子らとの間において本件土地の賃借に関する契約書を作成しておらず、権利金等の授受もなかった。

2.審判所の判断

イ.本件土地の貸借については、①賃貸借契約書等の書面は存在しないこと、②権利金等の授受がされていないこと、③氏子らは毎年12月に「神社地代」名目として12,000円(月1,000円)を支払っていること、④■■■の本件各神社の移転の際に被相続人が善意で甲土地を提供した経緯が認められることから、甲土地に関する被相続人と氏子らとの貸借関係は、被相続人の好意を基盤とするものであり、毎年の「神社地代」名目で支払われている金額は氏子らからの謝礼としての性格を持つものと考えられることから、使用貸借と解するのが一般的である。

ロ.土地の使用貸借の場合、使用貸借に係る使用権の価額は零として取り扱われるため、使用貸借により貸付けられている土地を相続した場合における相続税の課税価格に算入すべき価格は、その土地が自用のものであるとした場合の価額とされており(使用貸借通達1及び3)、当審判所も同取り扱いを相当と判断するところ、そうすると、甲土地は自用地として評価するのが相当である。

しかしながら、甲土地は、私有物としてその所有者の意思に基づく処分の可能性は認められるものの、地域の住民等が本件各神社に参拝する為に自由に出入りすることが可能であり、かつ、その経緯に照らすと、現在及び将来においても容易に明け渡し要求ができない状況にあると認められるところである。

このため、甲土地は、更地に復帰させるための法的規制はないとしても、地域住民等の信仰の対象とされることによって、事実上の使用制限を受けており、更地に復帰する可能性は低いとみるのが相当である。そうすると、本件土地の評価に当たっては、その自用地としての価額を基礎として、その使用制限の程度に応じた何らかの減価を考慮するのが相当と認められる。

ハ.甲土地は、所有権はあるものの、地域住民が本件各神社に自由に参拝し、かつ本件各神社においても定期的に祭典が行われていることからすると、本件各社殿の敷地の用という現状通りの利用しかできず、将来も更地に復帰する可能性が低い(将来的にも限定的な利用しか望めない)という状況にあること、及び建造物の敷地の用に供されている点を併せ考えると、評価通達24-8に定める重要文化財に指定された建造物の敷地の用に供されていた宅地の評価に準じて、自用地としての価額の30%に相当する金額によって評価するのが相当である

また、請求人らは、本件土地が不特定多数の者の通行の用に供されている私道に準じて「零」評価すべきである旨主張するが、本件神社は、■■■に移設されたことからも明らかなように今後の移設の可能性は否定できないこと及び神社の敷地になっていることを理由として当該土地が無償で取引されている実態も見られないことを併せ考えると、土地所有者である請求人らに処分の可能性が残されているものと認められることから、その主張は採用できない。

したがって、甲土地の貸借が使用貸借とした場合の同土地の評価額は、自用地としての価額の30%相当額とするのが相当である。

 

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