無償返還届出書の提出されている土地の評価は自用地の価額の80%が相当とした事例(平成13年6月6日裁決 大阪・非公開)

1.本件各土地の概要

被相続人は、本件土地を堅固な建物の敷地として被相続人が代表取締役を務める法人Aに賃貸し、法人Aは本件土地上に鉄筋コンクリート造陸屋根6階建事務所共同住宅(以下本件建物)を建てた。賃料は1ヶ月752,000円、商業地域 容積率600%の地域。被相続人は、その後本件無償返還届出書を本件賃貸借契約書と共に原処分庁(税務署)に提出した。

2.審判所の判断

①借地権の評価に関する課税庁の取扱いは、借地権の経済的実態を反映して、借地権の設定に際し通常権利金その他の一時金を支払うなど、借地権の取引慣行がある地域について、状況類似地域ごとに借地権の売買実例や権利金の授受の状況等を基に借地権割合を定め、相続税の課税価格の算定の基礎となる借地権の価額を評価しようとするものであって、合理的な評価方法と認められる。

そして、借地権が設定されている土地を相続税等の課税財産として評価する際には、当該土地の自用地としての価額から借地権の価額を控除することとしているが、無償返還届出書が提出されている場合は、当該土地に係る借地権の価額は零とし、当該土地の貸宅地としての価額は、当該自用地としての価額の100分の80に相当する金額で評価することとしている。

これは、借地権の設定に際し無償返還届出書が提出されている場合には、借地権の価値は生じないこととして取り扱い、一方、当該貸宅地の価額については、借地借家法などの制限を受ける結果、相続などの時に直ちに土地所有者に無償返還されるわけではないことにかんがみ、自用地としての価額の100分の80として評価しようとするものであって、不合理なものとはいえない。

これを本件についてみると、本件土地の存する地域は、市の中心部に隣接市、都市計画法の商業地域内で容積率が600%と高い地域にあって中高層の店舗及び事務所が連なる高度商業地域に位置するので、借地権自体が高い経済的価値を有し、借地権が取引の対象になっているのは周知の事実である

だとすると、借地権の設定に際し貸主が高額な権利金を要求することは容易に推認できるので、本件土地が存する地域は借地権の設定に際し権利金を支払う慣行がある地域と認定できる。請求人は借地権の設定に際し権利金を支払う取引慣行がある地域と借地権の取引慣行がある地域とは別個のものであり、本件土地が所在する地域では借地権の取引慣行はあるが、借地権の設定に際し権利金を支払う取引慣行はない旨主張するが、その旨主張するのみで、具体的な証拠もなく、請求人の主張は採用できない。

そうすると、本件無償返還届出書は、借地権の設定に際し、権利金等を支払う取引慣行がある地域に所在する本件土地について、権利金の設定課税等を受けないために提出されたものであり、有効に提出されたものであると認められる。そして、本件無償返還届出書が提出された後、本件契約書の合意内容を変更した事実も認められないこと及び法人Aの○○年○月期の決算書の貸借対照表の資産の部に本件土地に係る借地権の記載がないことをも考慮すると、本件相続開始時点における本件土地の価額について相当地代通達8を適用して評価したことは不合理とはいえない

したがって、本件土地の価額を自用地としての価額の100分の80として申告した請求人の申告内容に誤りは認められない。更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分は適法である

 

 

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